2017年9月16日 (土)

彼岸花律儀に咲ける線路端

夏らしい猛烈な暑さをあまり経験することなく、台風一つで秋がやってきた。なんだか、ありがたいような不完全燃焼のようなひと夏。そして、何度かミサイルが日本列島上空を飛び、また台風がやってくるらしい。
日本でも世界でもあちこちで水害や土砂崩れが多いようだ。気候がおかしいせいか、花の終わったはずのシモツケがまた花をつけたりしている。
理不尽なこと、不安なこと、腹立たしいこと、悲しいこと。そういうあれやこれやがあっても、人の何気ない言葉や心配りに、慰められたり、力づけられている。
駄句のみ……

  ひと雨で青松虫の九月明く

  しみじみと渋さ懐かし青林檎

  つゝましき食卓なれど秋刀魚哉

  彼岸花律儀に咲ける線路端

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2017年8月22日 (火)

赤とんぼ高校球児の頭上にも

ぼんやりと過ごしている間に、季節は立秋を過ぎて、処暑も来ようかという時期になった。
暑くなければ雨が降ったりで、休みの日、何年かぶりに家でゴロゴロと高校野球を見たりしていた。
カメラが甲子園球場を写した画面を時折トンボの影が横切っていく。
もう数十年も前に夏の甲子園を見に行った時も、球児たちの熱戦から目を移すと、前をスイーっとトンボが飛んで行ったことを思い出した。

7月末からのわずかばかりの句。


  夏土用あくびの並ぶ朝電車

  図書館のしゞまに交じる蝉しぐれ

  蝉しぐれかはたれ刻を過ぎてなを

  カナカナの止みてゐる間の長さ哉

  赤とんぼ高校球児の頭上にも

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2017年7月22日 (土)

燕ツイと水をたゝきて池静か

言っても仕方ないと思いつつも……暑い。
昼はもちろんだが、夜も寝苦しい。
エアコンをつけているとノドをやられてしまうので、極力窓を開けて風を通すようにしているが、風がないと万策尽きる。
熱中症は室内にいてもなるという。お互いさま、無理をせずにご自愛を……


燕ツイと水をたゝきて池静か

店閉じた食堂わきの槿(むくげ)かな

通り雨過ぎて蝉の鳴き始む

水撒きやずぶ濡れなりに息つきぬ

ー伊豆に一泊旅行してー

蝉の声海にしみ入る網代宿

大島も小島も霞み朝の凪

ひもの干す先の軒にもつばくらめ

ツバメ Barn swallow

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2017年7月 5日 (水)

七夕の竿に親子の雀哉

東京はたまに晴れ間があっても梅雨空が続いている。
九州や中国地方では台風や前線の影響で大雨という。
東京都議会議員選挙があり、自民党は案の定大敗したが世の中の気分は梅雨空と同様、さっぱり晴れない。
目を外に向けても、あちこちでテロがあり、世界を恫喝するミサイルが飛び、それにまた恫喝が応じる。暗くて殺伐としたニュースばかり目につく。
いやな時代だ……が、今文庫本で読んでいる江戸時代の武士の日記も、酒の上の喧嘩や怨恨からの殺傷沙汰とその始末(磔獄門から斬首、切腹、遠島、追放……)、大火災や放火事件、洪水などの天災と不作、幕閣や藩の人事、色恋のゴシップ……今の週刊誌ネタとあまり変わらない。
武士が本業の戦さをしなくなって綱紀は緩みっぱなし。殿様も家来も台所は火の車で閉塞感いっぱい。そんな時代でも日記の主は、仕事やお付き合いをそつなくこなし、体面を気にしながらも人形浄瑠璃や芝居に興じ、釣りや投網にはいそいそと出かけ、時どきの感興を漢詩に詠む……。
まあ、いつの世も処世はかくあるべきなのだろうな。


  むきつけの言葉の雨や合歓くたす

  大蝦蟇(がま)ののそりと動く宵の闇

  七夕の飾り揺れたり路地の風

  七夕の竿に親子の雀哉

  梅雨の夕 コルトレーンをバラードで

  妻刻む茗荷の音や夕餉どき

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2017年6月24日 (土)

初蝉や蔓埋めたる空き倉庫

妻が今年も梅ジュースを漬けた。梅雨時から夏に向かう我が家の風物詩。
近所の公園で今年初めてジジジジとセミが鳴いていた。蝉の初聞き。降れば鬱陶しく、晴れればジリジリと照りつけられるのを繰り返しながら本格的な夏がやってくる。
夏草はどんどん丈を伸ばし、遅れていたベランダのネジバナもようやく花が開き始めた。


  夏至の日の暮るゝを惜しみ燕飛ぶ

  犬連れた人影幾つ夏至の夕

  短夜の嘆きいずこや早寝癖

  やくたいも無き雑談に夏至暮るゝ

  梅雨の晴川面静かに舟を出す

  初蝉や蔓(かずら)埋めたる空き倉庫

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2017年6月15日 (木)

ねじばなや命惜けれ草も民も

梅雨冷えというか、長袖のシャツを着ていても肌寒いような何日かがあり、ようやく日差しとともに夏の暑さが戻ってきた。いやだ嫌だと言いながら、やはり夏は暑くないと心落ち着かない。
この時期に好きな花がある。芝生では邪魔者扱いのネジバナ。地面からスーッと伸びた花茎からくねくねとねじれながら薄紅色の小さな花を咲かせる。地味な草だが乾燥にも強く、よく見ればランの仲間だと納得する美しい花。
道端でちらほら咲き始めているが、わが家のベランダにある鉢はまだつぼみのままだ。これもこのところの寒さのせいだろうか?

  梅雨寒や止めるつもりのたばこ増ゆ

  くちなしのうつむきながら香りけり

  夏椿誇るが如く恥ずごとく

  鬱陶しき世なればこそ梅雨間晴れ

  ねじばなや命惜けれ草も民も


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2017年6月 8日 (木)

ゆっくりと乳母車過ぎ枇杷熟す

いよいよ梅雨到来・・・と思ったら、今日はいっとき雨がこぼれてきたものの午後には青空が広がり、ここ数日では一番の日差しが戻った。夏至も近い日差しは真夏よりも肌に痛く感じられる。
空梅雨なのか、いずれジトジトとした梅雨空がやってくるのか。どっちにしても真夏よりしのぎやすいのはありがたい。せいぜい季節の移り変わりを楽しもう。それでなくても世の中、気が滅入るような話題が多いのだ。
書き留めておいた句のみ。


むくむくと青葉の峰や尾長二羽

鷹揚げて植田の空の風渡る

餌ねだるひなの声して梅雨に入る

ゆっくりと乳母車過ぎ枇杷熟す

燕落ちてまた昇りゆく梅雨間晴

梅雨晴れて低く飛ぶ雲高き雲

六月の日差しまばゆし影は濃し

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2017年6月 4日 (日)

あを梅の葉陰に太る昼静か

真夏並の日差しにたじろぐ日も、朝晩の風はまだ肌寒い。
仕事で千葉の方に出かけると、田植えの終わった田んぼの緑が目に鮮やかだ。
ウグイス、オオヨシキリ、セッカ……姿が見えなくても鳥のさえずりが「夏だぞ、一年ももう半分過ぎるぞ」と告げている。

最近書き留めた句のみ


あを梅の葉陰に太る昼静か

ひめしゃらの花敷くあたり蜥蜴逃ぐ

汗ばむや妻の御用の米買ひて

文庫本開いたなりの昼寝かな

我ながら進歩なき身や五月尽

走り梅雨道には柿の花撒きて

梅雨冷や仕事辞む人晴々と

野にはもう野萱草が咲いてゐる

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2017年5月26日 (金)

どくだみの花少し揺れ猫の道

晴れれば暑く、降れば少し肌寒い。走り梅雨らしいといえば、らしい天気が続く。
日の長さが良くわかる季節になった。以前はまだ真っ暗だった朝5時頃には日が差し、夕方も6時頃まで明るい。あと一月もしないうちに夏至。おやおや、一年も半分経つのか・・・


雀騒ぐ忍冬の花咲く辺り

熊蜂を避けつゝ朝の散歩かな

小満の短き影や屋敷町

荒れ屋にも妖艶の女(ひと)柘榴咲く

万緑や紅一点の奢り佳し

はればれと若やぐ胸の夏来たる

どくだみの花少し揺れ猫の道

紫陽花に空の青染み雨止みぬ

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2017年5月18日 (木)

えごの花咲きつゝこぼる憂ひあれば

5月も半分以上経ってしまった。「風薫る」季節というのに、このところ曇り空が多く気温もあまり上がらない日が多かった。日差しの戻った今日は、午後激しい雷雨。このまま梅雨に入るのか、暑い日がやってくるのか。妙な気候だ。
それでも雨を浴びた青葉は美しい。時期を迎えた木花や花壇の花は雨に打たれて道に散りながら、残ったものは健気に咲き誇っている。
以下、書きとどめておいたわずかばかりの句。


雨の道白雲木の花撒きて

えごの花咲きつゝこぼる憂ひあれば

やまほふし権門富貴なにものぞ

たっぷりと生姜おろして初鰹

ひなげし哉ひと恋ふること遠くなり

母の日や親を呼ぶらし雀の子

半袖に肌のまぶしさ日の光

椎の花すじに残りて雨上がる

通り雨をトマトの苗耐へにけり

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