2017年3月21日 (火)

木蓮の宙を支へて輝けり

東京ではソメイヨシノの開花宣言が出されたが、外は終日冷たい雨が降ったり止んだり。
早咲きの桜を除けば、花の本番はまだもう少し先だろう。
それでも季節は確かに春。フキノトウやツクシはすでに高く伸び、レンギョウやユキヤナギ、トサミズキが通り道を賑やかに彩っている。
なにはなくとも、浮き立つような気分になるから不思議だ。

深川のつましき角も桜草

乙女らの恋の噂や桜草

雨濡らす菜の花の丈まだ低し

梅咲きてそこだけ白し宵の月

飾りなき部屋ひいやりと雛祭

雛飾りなき春と云へ陽の永さ

きりきりと寒の戻りや星冴へて

花菜喰ふ甘し小苦し春来らし

満月や西行観たる早桜

佐倉には鮒釣る人哉水ぬるむ

初鳴のうぐいす田には人を見ず

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2017年2月28日 (火)

山茱萸は開きかけなり二月尽

春は一進一退。
幸いにして花粉症はないのだが、周りには目も鼻も大変な方達がけっこう多い。春は憂鬱でもある。
もうすぐ、あらゆる命が動きだす。
目を上にあげればマンサクの花が花盛り。地べたを見ればまだ丈の低いタンポポに、春空を映したようなオオイヌノフグリ、そして蓮台に紅色のましますホトケノザ・・・

寒さに縮こまっていた間、わずかに吐いた駄句をあげておく。


春浅き朝の電車の顔なじみ

春浅し玉子焼く朝の香やさし

本読めばうつらうつらと日永哉

沈丁花匂ふ街まだ明け切らず

池騒ぐ蛙とらへる子等のゐて

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2017年2月15日 (水)

鳩ふたつゐて水仙の花盛り

日々あくせくと過ごしている間に1月はあっという間に終わり、2月も終わりが見えてきた。
身にしみる寒さもあと一月ほどのことだろうが、その日その日の寒さはまだまだこたえる。
若い頃は勢いで乗り越えたが、今は風邪などひかぬよう、目一杯着込んで、耐え忍ばねば……

<1月>

年明けの電車混み合ふ大荷物

山の雪里の雨止め成人式

標識の身をよじらせて冬嵐

空カップからから廻り冬の道

遠き山電車より見ゆ冬の朝

あつあつの大根美味し寒となる

歯にしみる寒のさむさや大根漬

<2月>

余寒とは云へあんまりな今日の風

涅槃会や沙羅も桜も見ざるまゝ

裸木も枝先やさし陽の温さ

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2017年1月 1日 (日)

初春や啼かず飛ばずも酉の歳

明けましておめでとうございます。
疲労困憊で迎えた昨年とは打って変わり、なんとものんびり穏やかに2017丁酉の年を迎えた。
以下、年賀状用に作ったコメントと駄句。

世を憂いて仕方なき吾も生きている。昨年の収穫はアニメ映画「この世界の片隅に」
誠実に生きる勁さ尊さ

  初春や啼かず飛ばずも酉の歳

  目白来て山茶花の垣身じろげり

  入り残る陽に鷗三つ歳の暮

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2016年12月10日 (土)

冬の月薄きすじ雲かかりけり

あっという間に今年も残り少なくなってきた。
ここ数年人付き合いも減っていたのだが、今年はなぜか忘年会やら久しぶりに会う人たちと飲む機会が多い。
とはいえ、飲む量も少なくなり、飲むよりは話をしている方が楽しい。
老いるというのはこういうことなのだろうが、これもまたいいかなと思う自分がいる。
わずかばかりの駄句を書き留めておく。

風吹きて落葉と吾と駅の道

河豚鍋をつつき誰かの噂かな

散り残る葉っぱまた好し忘年会

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2016年11月25日 (金)

初雪や運河の上の鳥静か

うかつなことにインフルエンザにかかってしまった。
普段の風邪とは違い喉の腫れがないのに熱が出る、一度熱が下がっても繰り返し上がる。
かかりつけの医者に行くと、たちまちA型インフルエンザの診断。
医者も「これまでにありましたっけ?」とカルテをひっくり返すくらいで、記憶する限り20年はかかったことがない。
油断としか言いようがないが、ウィルスに効くという最近の薬のおかげか、寝込んだのは2日間で済んだ。
一定期間職場にも出られないので、天から頂いた休暇ということにした。
その間に東京では雪が降り、ほんの少しだが積もりもした。
すぐ先には12月がやってきている。


石蕗や日々のつとめを咲きにけり

小春日の心は鉛筆で描きたし

チリチリと鳥の群れをり金落葉

孫駆けて桜紅葉の騒ぎ立つ

木守につかずはなれず目白二羽

草紅葉何事もなき今日ぞ好し

風邪引けばラジオで相撲聴いてゐる

風邪引きやシャツ五回替へ朝となる

風邪引きの床を払ひて痰切れず

運河には鯊を釣る人霜月尽

雪止みぬ晴れて佐渡より柿届く

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2016年11月 9日 (水)

木枯らしや新大統領決まるらし

天候のぱっとしない秋を嘆いているうちに、もう11月になってしまった。
本日木枯らし一号とか。雨の上がった早朝から、冷たい風が吹いて、日差しの戻った午後も風に震え上がったまま。
そういえばもうお酉様。季節は冬になっていたのだった。北国では雪が積もったという。
木枯らしに流されるように帰宅すると、アメリカでは新大統領が決まったというニュースで持ちきり。
もしやという声はあったが、大方はまさかと思っていた候補が当選した。超大国がどのようなことになり、それがどう影響するのか、世界が固唾を呑んで見ている。
10月から書き留めてあった駄句、わずかばかり上げておく。

<10月>

秋桜(コスモス)や世界はコトと回るらし

抗わぬ秋桜揺れてもどりけり

大口を開けて仰げば秋の雲

生きてあるあれこれ今日の秋の雲

肌寒や入歯の合はぬ握り飯

短日や飛行機の影輝きて

秋空の飛行機素敵な速さなり

秋の暮れ自転車の稽古覚束ず

鳥の影墜ちゆく果てや秋の暮れ

<11月>

こがらしに千切れ葉舞ひて昼の月

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2016年9月24日 (土)

朝の道蟋蟀を眼で探しつゝ

仕事が変わって馬込の静かな場所に通勤するようになった。
朝早い時間なのに、草むらからコオロギの鳴くのが聞こえる。
自宅の近くでは樹の高いところで鳴くアオマツムシばかりなので、新鮮な驚きだった。
それにしても、雨続きの秋だ。その雨の中でも鳴いているコオロギはすごい。

なかなか句を作る間もないのだが、9月になって書き留めておいたものをあげておく。


クラス会に欠席と書き彼岸前

彼岸花草埋みてあり雨止まず

蜻蛉ふたつ繋がり飛び雨小止み

秋の雨爪切りて為す事もなし

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2016年8月16日 (火)

ミンミ蝉雨に打たれて果てるまで

7月は何も書けないまま、8月も月遅れの盆も過ぎてしまう。
京都五山の送り火も、激しい雨の中で行われたようだし、関東も台風の影響で雨の中の送り盆。
暦の上ではもう秋だ。夏らしいことを何もしないまま夏が終わってしまいそうだ。

とりあえず書き留められたものを書き出しておく。

<7月>

ひまわりの日毎に伸びる速さかな

七夕も盆も縁なき地下勤め

ホームレスの公園ながら盆櫓

盆過ぎて涅槃の月の上りをり

迷ひ蝉ベランダに来て梅雨明けず

重き足引摺る朝や蟬しぐれ

<8月>

ほろ苦きこと思ひ出す遠花火

妻と二人言ふこともなし遠花火

雨音を聴きつゝ火見る送り盆

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2016年6月30日 (木)

鷗二羽やがて溶け行く梅雨の空

雨が降ったり止んだりの梅雨空が続く。
かと思えば、真夏並みの暑さが陽射しとともにやってきたり。
この時期はやはり鬱陶しい。
我が家のベランダではスカシユリが終わり、小さなネジバナがまだがんばって咲いている。
あっという間に一年の半分が過ぎ、明日から七月だ。
六月後半書き留めたもの、わずかながら挙げておく。

梅雨間晴れ日陰探して歩みだす

梅雨の間の若やぐ胸の白きこと

梅雨空や詫びたき人に指足らず

雨の紋運河に絶へず六月尽

ネジバナ Spiranthes sinensis var. amoena

ブドウ Vitis spp.

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