2018年6月 8日 (金)

椋鳥の親子さわがし梅雨の晴れ

梅雨入り。
いつも通る近くの公園は、いまムクドリたちに占拠されているように騒がしい。巣立ちをしても自前で餌をとれない幼鳥が、親の跡を必死に追いかけて鳴く、啼く、泣く・・・
あ〜うるさい、と思うが、人間の子どもだって、こんなふうに母親にまとわりついて育つのだ。とりわけ亡き母べったりだった私の幼い頃を思い出す。


  椋鳥の親子さわがし梅雨の晴れ

  桑の果はむなしく路にこぼれをり

  沙羅咲くや事件の陰に女あり

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ムクドリ White-cheeked Starling

2018年6月 4日 (月)

夏つばき思ひ出話たれとしよ

あれま、青葉若葉や花の香、そしてまずは無明の酒に酔っている間に5月が終わってしまった。
前回、4月に映画の話を書いた。その後もうひとつ観ているから、映画は月1回のペース。本ブログより成績がいい。
で、「ピーターラビット」を観た。ビアトリクス・ポターの絵本で知られる物語をCGと実写でぶっ飛んだアクション満載に仕上げた話題作。いや〜面白かった。
恥ずかしながら原作をちゃんと読んだこともなくて、何となく可愛らしいウサギのお話かと思っていたが、とんだウサギたちで、悪戯も度胸も義侠心も申し分ない。かなりアレンジしているんじゃないのかと疑ったが、原作を読んだことのある妻は「絵本でもお父さんは捕まってパイにされてしまったことになってる」。英国は絵本もリアリズムである。
ポツリポツリと書留めた駄句のみ。


  若草を喰む軽鴨も雨のうち

  紫陽花や雨に雀の親子ゐて

  何もする気にならぬ午后合歓咲きぬ

  夏つばき思ひ出話たれとしよ

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2018年4月17日 (火)

  鶯はケキョケキョとのみ朝の道

このところ妻とよく映画を観にいく。ありがたいもので60歳を過ぎるとひとり1000円で観れる。次はどの映画にしようかと話しながら二人で出かける楽しみがある。シネコンの会員カードまで作った。策略にハマったようでもあるが、まあそれもよし。
一番最近観たのが「ペンタゴン・ペーパーズ」。主演メリル・ストリープ&トム・ハンクス、監督スティーヴン・スピルバーグ。1970年代ニクソン政権下のアメリカ。全く成算のない戦争と知りながらベトナムにのめり込んで行った歴代政権の実態を、内部告発者がもたらした極秘文書で暴露したワシントン・ポスト(スクープしたのはNYタイムズ)の話。
メッセージは明確だ。批判的なメディアの報道を「フェイク・ニュース」と決めつけ、独善的にことを進めるいまの権力への、ハリウッド流レッド・カード。
ところ変わって日本もあれこれ騒がしい。否定→恫喝→(状況悪化で)同義反復→開き直り→トカゲの尻尾切り。ほとんど、見飽きた光景。
最近、書き留めた駄句のみ。


  しみじみと妻とふたりゐて花まつり

  いそいそと妻は孫の入園式

  石楠花や頬染めてゐたひとに似て

  いつはりの多き世にせよ青若葉

  鶯はケキョケキョとのみ朝の道

  秘めごとや射干の茂みの繁きこと


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2018年3月31日 (土)

花ふゞき西行も観た月のぼる

桜は一気に花を開き、来週には葉桜だろうという勢い。
桜だけでなく、梨やカリンやジューンベリーとか……ありとあらゆるものが命を燃え上がらせる、ここ数週間だ。
花見もこの週末まで。花を惜しむ句のみ。

  花ふゞき西行も観た月のぼる
  やまざくら根は幾代の土を抱く

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2018年3月13日 (火)

この齢になりてもさやぐ木の芽どき

冷え込む日があり、春の嵐があり、一足づつ春がやってくる。
雪国育ちなので、小さい頃はとりわけ春の訪れが嬉しかった。
雪の間からのぞいた黒土に咲いたオオイヌノフグリ。水の増え始めた用水路に萌え出したセリ。ヨモギやフキノトウにノビル・・・
東京暮らしが長くなり、その辺の季節の劇的な変化に少し鈍感になったのかもしれない。歳のせいでもあるのだろうか?
爆発するばかりの春の嬉しさは遠くなっても、やはり春は心落ち着かない。


  他を責むる顔鏡にゐ戻り寒

  沈丁花そ知らぬ顔の犬過ぐる

  逢はぬまゝ重ねし歳や沈丁花

  気がつけば柳もあをし運河沿ひ

  この齢になりてもさやぐ木の芽どき

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2018年2月21日 (水)

まんさくが開きなほるよに咲いてゐる

寒い冬だ。東京でも数十年ぶりという大雪が降り、暦の上では春になっても一進一退の寒さが続いている。
それでも水仙や福寿草が咲き、早咲きのものから梅花が開き出し、椿も。
季節は律儀に回っている。
近所を散歩していたらマンサクが黄色い花をつけていた。赤い花のものもあるようだ。
雪国の山野で他に先駆けて「まず咲く」から、こういう名前になったと聞いたことがある。
よじけて小さくて地味で、それでいて「どうよ!」と言わんばかりにぬけぬけとしているところが好きだ。
今年に入ってからの駄句、わずかだが・・・

  雪晴れの空の蒼さや梅にほふ

  早咲きの梅ふくらみてほの紅し

  鴨の群寒げに寄りて濠静か

  霜ばしら子供のやうに踏んでみる

  大寒や山盛りにして南瓜喰ふ

  梅微かに匂ふほどのぬくさ哉

  まんさくが開きなほるよに咲いてゐる

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シジュウカラ Eastern Great Tit

2018年1月 2日 (火)

和げてこと語りたき年の朝

タイトルは本年の年賀状に載せた句。詞書には
「疾風怒濤の昭和から見りゃ凪の海を迷走したような平成の三十年。五月蠅なす尖った言の葉さぎわう末は?」
と書いた。
しかし平成だって9.11、3.11をはじめ大変なことは多々あった。戦乱やテロや自然災害や・・・それでもこの国が戦もせずに来たことをありがたく思う。
晩秋から年末まで、書き留めたわずかばかりの句。


  秋闌けてトラムペットの音すなり

  木枯らしや鴉一羽空に墜つ

  入れ歯にて噛むにかまれぬ海鼠かな

  朝の椀湯気盛大に大根汁

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シジュウカラ Eastern Great Tit

2017年10月26日 (木)

ホトゝギス咲きて二人目の孫生る

もうすぐ10月も終わる。
あゝ、本当に今年も終わり近くなったなと思う。
天候不順なこの10月は、色々なことが重なった。
まずは二人目の孫が生まれ、ジイジも本格的になったこと。
そして孫誕生の翌日に訃報が届いた二十歳の姪の若すぎる死。
ひとり娘を失った義弟夫妻にかける言葉もなかった。
あれやこれやで、わずかな句のみ。


  ホトゝギス咲きて二人目の孫生る

  鴫(シギ)ひと群れ鳴きて秋の深まりぬ

  とる人のなき柿雨に打たれをり

  孫去りてとたんに広き秋の居間

  秋晴れや六十二歳の誕生日

(二十歳で逝った姪に)

  翔ぶ雁の翼と往けや二十華(ふたそはな)

  秋茜群れゐる空に旅立ちぬ

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2017年9月16日 (土)

彼岸花律儀に咲ける線路端

夏らしい猛烈な暑さをあまり経験することなく、台風一つで秋がやってきた。なんだか、ありがたいような不完全燃焼のようなひと夏。そして、何度かミサイルが日本列島上空を飛び、また台風がやってくるらしい。
日本でも世界でもあちこちで水害や土砂崩れが多いようだ。気候がおかしいせいか、花の終わったはずのシモツケがまた花をつけたりしている。
理不尽なこと、不安なこと、腹立たしいこと、悲しいこと。そういうあれやこれやがあっても、人の何気ない言葉や心配りに、慰められたり、力づけられている。
駄句のみ……

  ひと雨で青松虫の九月明く

  しみじみと渋さ懐かし青林檎

  つゝましき食卓なれど秋刀魚哉

  彼岸花律儀に咲ける線路端

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2017年8月22日 (火)

赤とんぼ高校球児の頭上にも

ぼんやりと過ごしている間に、季節は立秋を過ぎて、処暑も来ようかという時期になった。
暑くなければ雨が降ったりで、休みの日、何年かぶりに家でゴロゴロと高校野球を見たりしていた。
カメラが甲子園球場を写した画面を時折トンボの影が横切っていく。
もう数十年も前に夏の甲子園を見に行った時も、球児たちの熱戦から目を移すと、前をスイーっとトンボが飛んで行ったことを思い出した。

7月末からのわずかばかりの句。


  夏土用あくびの並ぶ朝電車

  図書館のしゞまに交じる蝉しぐれ

  蝉しぐれかはたれ刻を過ぎてなを

  カナカナの止みてゐる間の長さ哉

  赤とんぼ高校球児の頭上にも

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